本研究は、志賀直哉(大正14年から昭和13年にかけて奈良に居住)に師事した、池田小菊を中心とした研究である。彼女が関わった、昭和初期から戦後にかけての関西の出版や女性作家たち、及び、戦後民主主義の出発期について検討した。彼女の草稿の内容の検討を通して、奈良在住時の志賀や当時の奈良の一面を明らかにできた。また、全国書房版女流作家叢書についての調査によって、叢書出版において小菊の果たした役割や、当時の女性作家のネットワークの一端が明らかになった。小菊の資料のうち、戦時下の検閲についての資料となりうるゲラ刷りや、小菊が戦後関わった婦人会活動の機関誌である『婦人奈良』などを画像データ化した。
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