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2011 年度 実績報告書

薄田泣菫文庫の総合的調査および書誌の作成

研究課題

研究課題/領域番号 22520194
研究機関青山学院大学

研究代表者

片山 宏行  青山学院大学, 文学部, 教授 (60233756)

研究分担者 庄司 達也  東京成徳大学, 人文学部, 教授 (60275998)
掛野 剛史  埼玉学園大学, 人間学部, 准教授 (00453465)
キーワード薄田泣菫 / 芥川龍之介 / 菊池寛 / 久米正雄 / 大阪毎日新聞
研究概要

今年度における具体的な成果については次の2論文がある。
1、庄司達也・西山康一「芥川龍之介『薄田泣菫宛書簡』翻刻」(『芥川龍之介研究年誌』第5号、2011・7・30)本論は芥川龍之介が薄田泣菫に宛てた書簡2通(新資料)を翻刻紹介し、当時の芥川の伝記的欠落部分を新たに補填したものである。内容は「大阪毎日新聞」に入社したばかりの芥川が、ライバル紙の「大阪朝日新聞」が在京の文士を招いて開催した会合について探りを入れたとみられる「大阪毎日新聞」文芸部長の泣菫の手紙に対し、菊池寛(芥川と同時入社)と自分を「招待せず」と返答、「恐らく商売仇のせいでせう」と皮肉な分析をしたもの。
もう1通は自殺の一因とされる神経衰弱に悩む様子を、療養先の湯河原から送ったもので、いずれも泣菫と芥川との親密な関係を明らかにした重要な研究成果である。複数の新聞により広く報道された。
2、庄司達也・三宅昭三「薄田泣菫『久米正雄宛書簡』、久米正雄『薄田泣菫宛書簡』翻刻-附、久米正雄『牡丹縁』入稿原稿(冒頭)の紹介-」(『東京成徳大学研究紀要-人文学部・応用心理学部-』第19号、2012・3・15)本論は薄田泣菫が久米正雄に宛てた書簡1通、および久米正雄と芥川龍之介、菊池寛ら三人の連名による薄田泣菫宛書簡1通を翻刻、紹介するとともに、久米の「大阪毎日新聞」寄稿第一作となった連載小説「牡丹縁」の冒頭部分の原稿を影印により紹介、検討を加えたものである。これらの新資料により、「大阪毎日新聞」学芸部長であった泣菫が久米に再三、小説の執筆依頼をしていた事実と、かつて第三次、第四次『新思潮』同人であった三人が作家として文壇に登場する前後に泣菫を中心にどのような動向をとっていたか、またジャーナリストとしての薄田泣菫の立場が鮮明になった点で、本プロジェクトにとって重要な成果となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「研究実績の概要」に記したとおり、倉敷市に収蔵されている「泣菫文庫」(仮称)のうち、泣菫宛書簡の解明は順調に進んでおり、主としてジャーナリストとしての泣菫の面目が明らかにされつつある。研究会も定期的におこなっている。

今後の研究の推進方策

泣菫の遺族からの倉敷市に対する「泣菫資料」の寄贈は、研究スタート時より大幅に増え、1700点前後になった。倉敷市および関係各者に協力を仰ぎつつ、これらの分類とデータベース化と翻刻、分析を進め、薄田泣菫の業績と人物像を多面的に明らかにし、泣菫をめぐる日本近代文学の新たな視点を探り出すことに努めたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 薄田泣菫「久米正雄宛書簡」、久米正雄「薄田泣菫宛書簡」翻刻-附、久米正雄「牡丹縁」入稿原稿(冒頭)の紹介-2012

    • 著者名/発表者名
      庄司達也・三宅昭三
    • 雑誌名

      東京成徳大学研究紀要-人文学部・応用心理学部-

      巻: 第19号 ページ: 1(166)-13(154)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 芥川龍之介「薄田泣菫宛書簡」翻刻2011

    • 著者名/発表者名
      庄司達也・西山康一
    • 雑誌名

      芥川龍之研究年誌

      巻: 第5号 ページ: 135-151

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公開日: 2013-06-26  

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