研究課題/領域番号 |
22520195
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
鈴木 裕子 駒澤大学, 総合教育研究部, 教授 (50248895)
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研究分担者 |
櫻井 陽子 駒澤大学, 文学部, 教授 (60211934)
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キーワード | 日本文学 / 物語文学 / 物語絵 |
研究概要 |
本年度は、三年間の研究期間中の二年目にあたり、昨年度に引き続いて基礎研究の充実をはかるのに有用な物語絵作品の数々を熟覧・調査するとともに、四回の会議・研究会を持ち、昨年度の研究会においてメンバーの興味が集約されつつあることを確認した『平家公達草紙』を中心とした平安・鎌倉物語文学について知見を広めるための研究を進めた。 なお、今年度に絵本・絵巻等絵画資料を中心として熟覧・調査を行った主なものは以下のとおり。「紙本白描隆房卿艶詞絵巻(一巻)」(国立歴史民俗博物館所蔵)、「いはや(三巻)」、「いはや断簡(一軸)」(以上駒澤大学図書館所蔵)」、「花鳥風月(一冊)」、「いは屋(三冊)」「いは屋(二冊)」、「秋月物語(三巻)」(以上東洋文庫所蔵)、「羅生門(絵巻二軸)」、「田村の草子』(三冊)、「ひな鶴(絵巻二軸)」、「酒呑童子(絵巻一軸)」、「呉越絵(絵巻二軸)」(以上國學院大學図書館所蔵)など。 また、基礎資料の蓄積の一環として、駒澤大学図書館所蔵の奈良絵本『伊勢物語』の調査結果を、「解題と翻刻 駒澤大学図書館所蔵『伊勢物語』(奈良絵本)」と題して、本学大学院生阿部昌子との共著にて「駒澤大学総合教育研究部研究紀要」第6号に発表し、資料の共有化と研究情報の発信を行った。その他の本年度までに蓄積した基礎研究を土台にして、最終年度に向けて、特に「平家公達草紙」の平安・鎌倉物語文学としての価値、その絵画化された場面との連関性の問題を中心にして成果をまとめる計画を立てた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基礎研究の充実をはかりながら、平安・鎌倉物語文学における絵と本文の関わりにターゲットを置いた本共同研究の過程で、これまであまり取り上げられなかった作品の文学性・芸術性を発掘するという具体的な目標が絞れたことは、有意義であると評価される。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となるので、今後は研究の総括をすることが目標となる。引き続き広く絵画資料に接して基礎研究の充実をはかりつつ、昨年度に的を絞った対象作品を中心に、メンバーがそれぞれに進めてきた成果や研究会での合同成果を総括して活字媒体での公表を目指している。現段階で、そのために特に支障をきたすような問題は生じていない。
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