研究課題/領域番号 |
22520200
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
倉員 正江 (長谷川 正江) 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (70307817)
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キーワード | 水戸藩 / 儒教儀礼 / 徳川光圀 / 水戸家墓所 |
研究概要 |
平成23年度は、前年度末3月11日に発生した東日本大震災の影響で、研究計画の変更を余儀なくされたことを述べたい。平成22年度は台湾大学のシンポジウムに招聘され、水戸藩における朱舜水の影響について発表し、常陸太田市瑞龍山に現存する舜水の墓碑建立と、江戸藩邸内の舜水祠堂の造営・焼失と水戸城下における再建について論文を発表した。23年度は引き続き水戸藩のお抱え狩野派絵師による舜水の肖像画作成とその影響や、舜水が教授した儒教儀礼について研究を進める予定であったが、大震災で水戸家墓所が被害を受けて徳川光圀墓碑も一部倒壊した。舜水の墓が無事であったのは不幸中の幸いであったが、水戸藩主墓碑修復等のためには、建立当時の状況や文献的裏づけが役立つと考え、また徳川ミュージアム館長の勧めもあって、元禄13年に没した光圀の葬祭について、『大日本史編纂記録』と『日乗上人日記』を主たる資料として論文を執筆した。瑞龍山に近い久昌寺は光圀実母の菩提寺で、水戸藩の菩提寺ではないが、光圀の祭祀を行っている。現在瑞龍山は諸般の事情で非定期公開であり、墓碑自体に近づけないのは残念なことではあるが、将来に向けて日本では貴重な儒式の墓碑群をどう保存し、また研究対象としていくのかが問われている。そのための端緒として問題提起する意図で執筆したものである。墓・祠堂・神主(位牌)は個人情報が記されていることもあり、非公開の場合が多い。また復旧には時間と費用がかかるが、今後とも協力するつもりである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画を変更したこともあり、台湾大学のシンポジウム論集(中国語)の刊行が遅れていることもあって、論文は一本しか発表できなかったが、儒教的祭祀と仏教的祭祀の関係は今後発展性のあるテーマであると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は朝鮮通信使来朝時の日本知識人との交流の様相を視野に入れ、日本・中国・朝鮮知識人らの意識の類似・相違について多面的に研究を進める。朱舜水の肖像画作成、徳川光圀の詩文集、追悼文集の編纂についても引き続き追究する。
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