研究課題/領域番号 |
22520202
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
日向 一雅 明治大学, 文学部, 教授 (90079426)
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研究分担者 |
袴田 光康 明治大学, 文学部, 兼任講師 (90552729)
長瀬 由美 明治大学, 研究知財戦略機構, 客員研究員 (20553324)
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キーワード | 源氏物語 / 源氏物語注釈史 / 儒教的注釈言説 / 仏教的注釈言説 / 東アジア文化圏 / 河海抄 / 仏教説話 / 漢文説話 |
研究概要 |
本年度は(1)源氏物語の享受層を具体的に明らかにするために、中世の代表的注釈書である『河海抄』調査、(2)近世の儒者の源氏物語に対する言説の調査を行った。(1)については、『河海抄』の確認できる写本60本のうち、その三分の一に当たる20本について奥書・識語・勘記などの調査を行った。6月に明治大学図書館、10月に国文学研究資料館、12月に天理大学図書館において、写本の実見調査、及びマイクロ資料・マイクロ紙焼きによって、奥書等の調査・撮影・模写を行い、その調査結果については、中書本・覆勘本の系統ごとに、翻刻・校異・伝本などをまとめ、報告書を作成した。また『河海抄』中の儒教的言説の調査に関わって、『河海抄』に引用される漢詩文の訓点が諸本によって大きな違いがあり、訓点をほとんど付さないものと非常に多く訓点を施しているものがあることが分かった。諸本に共通して付される訓点(おそらく『河海抄』原本に遡る古訓)と、『河海抄』享受の過程で書写者の必要に応じて付された訓点(江戸期の訓読を反映するか)とがあり、確認した江戸期の諸本ではそれらが区別なく記されている。後者の分析は、『河海抄』がどのような人々に求められたかという『河海抄』享受の様相を明らかにすることと密接に関わる。(2)近世儒者の源氏言説については資料の網羅的な調査と収集を行った。これも報告書を作成する。また源氏物語の背景となる平安時代の仏教については、中国・韓国の仏教との関係を調査し、その成果の一部は、2011年2月に中国南通大学における東亜文化研究国際学術研討会において発表した。
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