研究課題/領域番号 |
22520202
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
日向 一雅 明治大学, 研究・知財戦略機構, 客員研究員 (90079426)
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研究分担者 |
長瀬 由美(金丸由美) 都留文科大学, 文学部, 准教授 (20553324)
袴田 光康 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (90552729)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 源氏物語 / 源氏物語注釈史 / 儒教的注釈言説 / 仏教的注釈言説 / 東アジア文化圏 / 河海抄 / 仏教説話 / 唐代伝奇 |
研究概要 |
平成24年度は前年度に引き続き、近世儒者、知識人層を中心とした19世紀の儒教的な源氏物語批評言説について幅広く調査を行い、データ化した。本調査はこれまで行ってきた17、18世紀の調査と合わせて近世における源氏物語の儒教的な享受言説資料集として、その時期の源氏物語享受の実態を理解するうえで、基本的な資料集となるものと思う。これまでにない資料集である。また明治大学図書館蔵『源氏物語聞録』「葵」巻の翻刻を行った。これが近世徳島藩の武家社会における源氏物語享受の貴重な資料であることは、前年度の報告でも触れた。これらは『明治大学古代学研究所紀要』18号に掲載する。 日向は「紅葉賀」巻の『白氏文集』を引用する大きな本文異同ー「鄂州」(青表紙本系)と「文君」(河内本系)の異同がなぜ生じたか、その本文評価について検討考察した。また須磨で光源氏の弾く琴曲「広陵散」について従来の説の見直しを論じた。 長瀬は一条朝の惟宗允亮『政事要略』に『白氏文集』の「策林」「判」などが引用されることに注目して、当時の官僚にとって白氏諸篇は実務上の文書作成に当たって政治理念や儒教思想を示すうえで必要とされ、尊重されたことを明らかにした。それは平安中期の文人たち、紫式部にも共有された態度であったとする。白居易受容が詩だけでなく、文人たちにとって官僚としての実務面において政治理念、儒教思想まで広く深くなされたことを確認するものであり、注目すべき点である。 仏教に関しては、袴田は藤壷が法華八講を主催し出家しながら、成仏できないでいるという問題について、9ー11世紀の法華八講の女性が願主になった史実を検討し、女性の置かれた現実に対する源氏物語の厳しい眼差しを論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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