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2012 年度 実績報告書

下層社会の表象を焦点とした近代文学における「風景表象」の体系

研究課題

研究課題/領域番号 22520204
研究機関早稲田大学

研究代表者

中島 国彦  早稲田大学, 文学学術院, 教授 (00063785)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2013-03-31
キーワード風景表象 / 木下尚江 / 田中正造 / 下層社会 / 森鴎外「青年」 / 木下杢太郎「南蛮寺門前」 / 東京の風景 / 京都の風景
研究概要

3年間の研究計画の最終年度として、これまでに実績の上に立ち、新しい近代文学史の構想に資する視点の明確化を試みた。特に留意したのが、時間軸に立った視点(幕末から近代の成熟と矛盾を示す明治末期との相関)、空間軸に立った視点(東京・京都・足尾鉱毒地への地理的展開)をからませた総合的な分析である。
今年度の中心に置いた一つが、早稲田大学文学学術院所蔵の「木下尚江資料」の解析による研究で、資料の整理・翻刻・研究を通して、文学史に特異な位置を占める木下尚江の営為を論じつつ、特に足尾鉱毒問題で活躍した田中正造との関わりに焦点を当てた。未発表の正造書簡を紹介しつつ、明治末期の気象・自然変容が風景に与えた影響を辿り、鉱毒問題を「風景表象」の内実から捉えなおす試みを始めた。この作業は、今後も資料整理・公開を進めつつ、深めていきたいと思っている。
もう一つの中心が、日露戦後の東京の大きな変貌の中で、「風景」がどう文学者の感受性に影響を与えたかを、具体的な作品を通して分析する試みで、森鴎外『青年』と木下杢太郎『南蛮寺門前』の2作を対象に、作品分析の論文を発表した。前者においては、東京の起伏に富む空間構成が、後者においては、文学・美術・音楽の相関が大切であることを論証できたと思う。
その他の論文においては、京都の空間構成を多角的に分析、東京との差異を明らかにできた点、藤村『夜明け前』の幕末の「風景」表象を補助線にした「近代」の再吟味の試みができた点が成果であり、今年度中に実地調査を済ませた、京都の「路地」の問題や近郊の「風景」(近松秋江)、及び岡山・勝山における「風景」体験(永井荷風)についても、近く論文化して成果を発信する予定にしている。

現在までの達成度 (区分)
理由

24年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

24年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 一九一〇年前後の文学・美術・音楽の交響―木下杢太郎『南蛮寺門前』を手がかりに―2013

    • 著者名/発表者名
      中島国彦
    • 雑誌名

      比較文学年誌

      巻: 比較文学年誌第49号 ページ: 1-20

  • [雑誌論文] 木下尚江と田中正造、一九一〇年まで―新資料・木下尚江宛田中正造書簡の紹介―2013

    • 著者名/発表者名
      中島国彦
    • 雑誌名

      早稲田大学大学院文学研究科紀要

      巻: 第58 輯3 分冊 ページ: 21-37

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 『夜明け前』第一部を読む―序の章2013

    • 著者名/発表者名
      中島国彦
    • 雑誌名

      繍

      巻: 第25号 ページ: 94-99

  • [雑誌論文] 東京の「崖」、内面の「崖」―鴎外『青年』にみる空間構成―2013

    • 著者名/発表者名
      中島国彦
    • 雑誌名

      報告論集・多面体としての《森鴎外》

      巻: 記載なし(報告集) ページ: 92-101

  • [雑誌論文] 資料紹介・速記で残された木下尚江の島田三郎追悼演説―新資料・木下尚江「先生最後の憂ひ」の紹介―2013

    • 著者名/発表者名
      中島国彦
    • 雑誌名

      国文学研究

      巻: 第170集 ページ: 1-20

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 京都の遠景、京都の点景―『五足の靴』・志賀・子規・吉井勇にみる風景表象―2012

    • 著者名/発表者名
      中島国彦
    • 雑誌名

      国文学研究

      巻: 第167集 ページ: 47-59

    • 査読あり
  • [学会発表] 一九一〇年前後の文学・美術・音楽の交響―木下杢太郎『南蛮寺門前』を手がかりに―

    • 著者名/発表者名
      中島国彦
    • 学会等名
      早稲田大学比較文学研究室月例研究発表会
    • 発表場所
      早稲田大学文学学術院
  • [学会発表] 東京の「崖」、内面の「崖」―鴎外作品にみる空間構成―

    • 著者名/発表者名
      中島国彦
    • 学会等名
      国際シンポジウム・多面体としての《森鴎外》
    • 発表場所
      アルザス欧州日本学研究所
    • 招待講演
  • [図書] 早稲田大学文学学術院所蔵木下尚江資料集・第3集「書簡」2013

    • 著者名/発表者名
      中島国彦
    • 総ページ数
      46
    • 出版者
      早稲田大学国際日本文学・文化研究所

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公開日: 2014-07-24  

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