研究課題/領域番号 |
22520205
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研究機関 | 清泉女学院大学 |
研究代表者 |
玉城 司 清泉女学院大学, 人間学部, 教授 (20410441)
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研究分担者 |
平林 香織 岩手医科大学, 共通教育センター, 教授 (50300132)
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キーワード | 真田幸弘 / 江戸座点取俳諧 / 大名文藝 / 百韻(連句) / 松平定信 / 柳沢信鴻 / 堂上和歌 / 賀茂真淵 |
研究概要 |
松代藩第六代藩主の真田幸弘(元文五年1740-文化十二年1815)は、和歌では賀茂真淵に添削指導を受け、一方で堂上歌人の日野家に入門し、また松平定信らとも交流した。俳譜では大和郡山藩主柳沢信鴻や江戸座宗匠存義・陸馬らと江戸藩邸で交流し、一方松代海津城では鎌原重賢ら家臣らと一座するなど、特筆すべき文藝活動を展開していたことに瞠目させられる。 そうした幸弘の文藝活動のうち、もっとも多くの資料が伝来する点取俳譜百韻(連句)の解読を中心に行った。そのひとつは、毎月第3木曜日に行う「真田連句を読む会」(代表玉城司)であり、ここでは初期連句-安永期の幸弘(俳号菊貫)の『菊畠』を中心に解読した。また研究協力者により、幸弘晩年の文化期の連句集『菊の分け根』を中心に翻刻した。 幸弘が関わった連句(百韻)は、約900巻9万句ほどあるが、そのうちのおよそ2万句を解読したことになる。これらの解読に基づいて、上記翻刻研究者・研究分担者および研究協力者に加え、長野市民を中心として、真田宝物館と共催して松代公民館で、「真田フォーラム2011」を実施。このフォーラムでは、講演とシンポジウムを通じて、江戸時代における大名の俳譜活動の実態に即して、政治的・社会的・文藝的意義、連句の言葉の意味や時代背景について問題提起するなど、地域の方々にも研究成果を還元し、その報告書『真田フォーラム2011』(A4版冊子)も作成した。 なお、大名の文藝活動のなかでの真田幸弘の位置づけを明らかにするために、上越市立博物館で高田藩の榊原文庫の調査に加わった。また共同研究者・平林香織は、国文学研究資料館で酒井忠以『玄冬日記』を調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
難読文字が多く、翻刻後、総合的に検討しなければ、崩し字を正確に読めないこと、つまり当初考えていた以上に解読がむつかしかったが、膨大な資料を整理し解読するには、まだまだ多くの時間を要するゆえ。
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今後の研究の推進方策 |
これまで解読してきた幸弘の点取俳譜資料『菊の分根』『菊畠』や幸弘の算賀集・祝賀集、紀行等の文藝資料を中心にデータベース化して、ホームページを立ち上げる予定である。
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