最終年度にあたりHP「松代藩六代藩主真田幸弘の文藝」(http://kikutsura.com/)を立ち上げた。幸弘の文藝を総体としてとらえるために、略年譜・賀集・点取俳諧集・俳諧一枚摺・発句集・追善集・和歌集・紀行・書道・日記・参考文献(未)の階層にわけて、それぞれに図像と簡潔な解説を付した。 とりわけ、(真田宝物館-長野県長野市に襲蔵)する点取俳諧資料を翻刻して、写真画像とともに、掲載したことに意義があり、文学的関心のみならず、近世の言語を研究する上でも有益だろう。また幸弘の隠居後の公的日記((御側御納戸日)の一部をデータ化して、掲載した。なお、俳諧連句(点取俳諧)は、現存総数約九万句のうち、およそ3万句を翻刻、データ化したが、点検作業が完全ではないために、点検をした後に写真画像とともに順次アップして、研究者の便にはかりたい。日記も点検を経て、公開したいと思う。 この3年間を通じて、毎年夏に「真田フォーラム」を開催した1年目は、大名の文藝研究の意義を先行研究(熊本藩細川家)から学び、2年目は真田幸弘が関与した点取り俳諧を取り上げ、具体的な連句の読み方を広く市民にも伝え、3年目は幸弘の印譜をとりあげ、点印がどのような意味をもつか考究し、また全体のまとめと今後の見通しについて研究者ばかりか市民の方も学び、考える機会とした。なお、3年間、毎年、報告書も作成した。 このほか、3年目は真田宝物館は「文人真田幸弘とその時代」という展覧会を開き、松代藩伝来の貴重な資料を目にふれることができた。なお、その図録作成にも協力できた。
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