研究課題/領域番号 |
22520209
|
研究機関 | 愛知文教大学 |
研究代表者 |
黒田 彰子 愛知文教大学, 人文学部, 教授 (30333181)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 古今和歌六帖 / 校本 / 異本注記 / 伝本研究 / 享受史 |
研究概要 |
古今和歌六帖の主要伝本のうち、前年度までに、写本12本、版本1本の本文をデータ化した。事前に行った実地調査により明らかとなった各伝本の性格及び特色を考慮し、かつ、データ化に伴い、図るべき統一性を考慮し、凡例を作成した。 これに基づき、データと原本の対照作業を行い、潜在する問題を洗い出す作業を行った。その結果各自から提出された問題点を検討し、校本とするための最終作業を経て、システム担当者にデータを提示した。その後、システム担当者からの意見を取り入れ、再度の是正を行い、年度末には、13本の伝本を一覧する校本形式のデータが完成した。 これを初校とし、現在事務局(代表者・黒田、連携研究者・日比野浩信、中村文、蔵中さやか、研究協力者・濵中祐子)が中心となって、校正を行っている。最終年度に当たる25年度には、略解題を付した校本を公刊できる見通しである。 また、当初所在不明であった伝本のうちの一本は、所在が判明したため、黒田、中村が実地調査を行うことが出来た。 解題については、重要な伝本については、すでに、成果報告書「古今和歌六帖研究I」(22年度発行)、同II(23年度発行)に、メンバー各自の論考を掲載した。また、古写本の存在しない古今和歌六帖の資料的な欠落を補うために、残存する古筆切の解説を掲載した。 24年度は、データ整備に専念したため、成果報告書は発行せず、24年度に進捗した内容については、本年度公刊予定の校本データ、及び、解題論文に集約させる予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各伝本のデータ化は、極めて順調に進んだ。但し、13本の伝本を一覧可能な校本形式にする際に、システム上の問題が若干生じ、これへの対応に時間を取られた面がある。 研究史を踏まえた伝本論については、代表者の黒田が「広本古今六帖考」(『愛知文教大学比較文化研究』12号、2012年11月)を公刊するなど、享受史全般の研究はおおむね予定通り進捗している。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、現在初校の段階にある校本データを、システム担当者と協議しつつ、可能な限り閲覧しやすい形式に整えることを第一とする。 当初の目的の一つに、異本注記の正確な再現というテーマがあったので、これについても、校正の過程で、問題点があれば、随時検討を加えて、再現性の高いものとしたい。 享受史については、連携研究者各自が専門とする時代のそれについて、研究論文を公刊することとする。
|