研究課題
本研究は、19世紀・20世紀の日本における文学と建築という二つの表象形式から「西洋」空間について具体的に調査するとともに、そうした表象と同時代の科学技術志向及び都市化との関連を解明することを目的としたものである。したがって、文学、建築の共同研究者および協力者の研究をベースに本年度4回の研究会合をもち、研究成果の検証および情報の共有を行なった。また、申請時の研究分担者、協力者以外にも建築学の領域の専門家、文学の領域の専門家計3名を講演者として招き、活発に議論した。考察された主な問題は、帝国ホテルと文学作品から見える西洋空間、上海を舞台とする近代文学作品における建築の意味、震災後の復興小学校における文学と建築との問題、横浜を舞台とした大佛次郎作品における建築の描かれ方、軽井沢におけるモダン建築と文学との関連性から見る「西洋」空間のあり方、ハルピンを舞台とする夢野久作「氷の涯」に描かれる建築の機能などである。それぞれの対象のなかから「近代化」の表象を問う時に重要となる「西洋」空間の表象の意味を析出した上で比較検討を加え、一昨年度、昨年度の成果と繋げている。本年度では、旧植民地として大連のみならず、ハルピンや上海を取り上げる一方では、国内では東京以外にも軽井沢・横浜を対象とするなど研究対象を広げた。また、「震災」の問題についても取り上げるなど、日本における多義的な「西洋」空間に関してや「近代化」の内実に関する考察がより深まったといえるだろう。本研究会合における各研究発表の成果はいずれ論文として提示するつもりである。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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同志社国文学
巻: 第78号 ページ: 91-103
ESTUDIOS DE ASIA Y AFRICA
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慶南学
巻: 第33号 ページ: 287-302