平成22年度は、平成17~19年度に交付された科学研究費補助金「『源氏物語』『枕草子』における本文の変遷とその受容に関する研究」(若手研究(B))で収集した資料に加えて、マイクロフィルムや紙焼写真を中心に基礎的研究資料の収集を行った。 研究としては、従来未整理であった『花屋抄』・『玉栄集』の諸本整理を行った。そのうち、『花屋抄』は奥書の有無などによって、諸本を分類し、考察を加えたものを、『正宗敦夫収集善本叢書第1期第2巻花屋抄』の解題として載せた。『玉栄集』は奥書の位置についても考察を加え、源氏物語古註釈叢刊第二期に収録予定である。 さらに、近現代の『源氏物語』の受容として、現代語訳・マンガ化についての資料も収集し、マンガ化の様相を、第8回ブラジル日本研究国際学会・第21回全伯日本語・日本文学・日本文化学会において、発表した。マンガ化と関連して、絵画化の諸相についても、I Encontro Internacional Linguagens do Orienteにおいて、発表。海外におけるマンガ文化の浸透とも絡む問題で、今後も近現代の『源氏物語』受容からは目が離せない。 今年度後半を費やして調査中の『奥入』に関しては、23年度~24年度にかけて成果が公刊される予定である。
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