研究課題/領域番号 |
22520220
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研究機関 | 比治山大学 |
研究代表者 |
山崎 真克 比治山大学, 現代文化学部, 准教授 (10342544)
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キーワード | 出雲歌壇 / データベース / 類題八雲集 / 作者姓名録 / 出雲松江藩 / 雲陽人物誌 / 手錢家 / 類題和歌集 |
研究概要 |
本研究は、先に上梓した『類題八雲集』付載「作者索引」を基礎データとして、関連歌書の調査・収集を行った上で、江戸後期出雲歌壇を構成する歌人データベースを構築し、歌壇の全体像の把握や、実態解明に資することを目的とする。当該年度に実施した研究の成果は以下の通りである。 1出雲歌壇関連歌書の調査・収集 前年度に引き続き、出雲歌壇の実態解明に必要な関連歌書の調査・収集を行った。調査対象としたのは、島根県立図書館・国文学研究資料館・刈谷市中央図書館村上文庫に所蔵された資料である。特に、江戸後期の類題和歌集を調査し、附載された作者姓名録の収集を行った。 2出雲歌壇を構成する歌人についての人物情報を抽出 収集した類題和歌集などの歌書から、作者姓名録を手がかりとして、出雲歌壇を構成する歌人について「姓・別称・身分・所在地・血縁関係・師弟関係」などの人物情報を抽出し、データの拡充を行う作業を継続した。 3出雲歌壇歌人データベースの構築・研究発表 作者姓名録を手がかりとして類題和歌集などの歌書から抽出した人物情報を、「散文検索システム」というデータベースシステムに実装するため、データの整理を行った。まず人物情報を「名」「歌番号」「姓」「別称」「身分」「所在地」「血縁関係」「師弟関係」「備考」の項目に再配列し、次にVisual Basicマクロを使用してデータにタグ付けを行い、マスタデータを作成した。これを「散文検索システム」に実装して、「出雲歌壇を構成する歌人データベース(暫定版)」を構築した。このデータベースを基にして、近世後期類題和歌集における出雲歌人の入集状況を調査・考察し、島根県出雲市にある手銭家で催された手銭家蔵書共同研究会にて口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
出雲歌壇関連歌書の調査・収集は、今年度も継続して行ったことにより、順調に進んでいる。近世後期類題和歌集の調査・収集をさらに進める予定である。また、作者姓名録を有する類題和歌集を中心に、出雲歌壇を構成する歌人についての人物情報の抽出をほぼ完了した。そして、使用するデータベースシステムとして、「散文検索システム」を採用することに決定した。これは、データの追加・修正が自在であること、画像データも連動させることができることなどの利点を有するためである。「散文検索システム」に実装するためのデータ整理を行い、「出雲歌壇を構成する歌人データベース(暫定版)」を構築した。これを適宜改訂しながら、歌壇の全体像の把握や、実態解明を目指して考察を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
データをさらに充実したものへとするため、出雲歌壇関連歌書の調査・収集は今後も継続して行う。特に、出雲以外で編纂されたものを含めて、近世後期類題和歌集の調査・収集をさらに進める予定である。 出雲歌壇を構成する歌人についての人物情報の抽出はほぼ完了しているが、作者姓名録を有しない類題和歌集も対象に加え、出雲歌人の入集状況についてデータを拡充していく。また、『国学者傳記集成』『名家伝記資料集成』『国書人名辞典』などの二次的資料によって、得られた人物情報を確認し、データの整備を図る。 これらの作業により、今年度構築した「出雲歌壇を構成する歌人データベース(暫定版)」を適宜増補・改訂する。そして、この成果を利用して、近世後期類題和歌集における出雲歌人の入集状況や、歌壇を構成する歌人たちや歌人同士の交流の実態などを明らかにすることで、歌壇の全体像の把握や実態解明を目指す。
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