• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

アメリカ女性雑誌における「自然」と「環境」についての言説研究

研究課題

研究課題/領域番号 22520222
研究機関岩手大学

研究代表者

秋田 淳子  岩手大学, 人文社会科学部, 講師 (10251688)

キーワードアメリカ小説 / 女性研究 / 雑誌研究 / アメリカ文学 / アメリカ研究
研究概要

本年度は、19世紀末アメリカにおいて女性参政権運動の機運の高まりを担ったthe American Women Suffrage Association(AWSA)の機関紙である、『ウーマンズ・ジャーナル』を考察対象とした。前年には、女性大衆雑誌『レディーズ・ホーム・ジャーナル』(以下、LHJと記す)の1898年から1900年の言説分析を行った。同時代の2誌の言説を比較、検討するために、同時代の作品を選んで考察にあたった。
機関紙という役を負った『ウーマンズ・ジャーナル』(以下、WJと記す)に掲載される言説の多くは、大会のお知らせや報告などの、機関の運営に関わる、現実的な情報が多い。それらの言説にたいして、読者たちは個人の必要性に応じて取捨選択するものの、受動的にそれらの情報を得る。情報を伝えるための断片的な言説は、LHJの小説を含めたあらゆる言説が、読者との距離を縮め、読者の体験を共有化しようとしていたものとは性質が大きく異なる。また、他紙からの転載が多いWJの小説の言説は、他の情報を伝えるものとは性質が異なり、紙面全体をとおして、「虚構」という異質な空間を提供していることを確認することで、WJにおける小説の役割を分析した。
AWSAの運営に関わる情報を提供することを目的とするWJの多くの言説は、それらを取捨選択する際に、読者の能動的な「読み」を必要とする。各読者は、事実に基づく情報から、断片的な記事が意味する背後のストーリーを読み取らなければならない。そのために、1紙に1号掲載される小説作品は、「ストーリー」を読む力の育成として機能していたことが指摘できよう。そうした力は、断片的な情報を伝える言説から、自分自身や他の女性たちの状況を反映する「ストーリー」を読みとる力を育て、19世紀末アメリカ社会において、女性参政権獲得に向けた大きな運動を生み出していくための一助となったことは明白であろう。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

大衆女性雑誌の『レディーズ・ホーム・ジャーナル』と、女性参政権を主導したAWSAの機関紙『ウーマンズ・ジャーナル』の小説を比較することで、同時代の女性たちの自然観を広く考察することを目的としたが、小説にたいする両誌の姿勢が大きく異なることから、簡単な比較研究ができないことが判明した。

今後の研究の推進方策

2誌の小説を同等の価値があるものとして比較することが困難であることが判明したため、『レディーズ・ホーム・ジャーナル』の小説分析を中心に据え、他の雑誌を参考程度に視野に入れて分析することとする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] The Woman's Journalにおける小説作品の役割についての一考察2012

    • 著者名/発表者名
      秋田淳子
    • 雑誌名

      東北アメリカ文学研究

      巻: 第35号 ページ: 72-82

    • 査読あり
  • [学会発表] ドメスティック・アドヴァイザーの小説の系譜2011

    • 著者名/発表者名
      秋田淳子
    • 学会等名
      東北英文学会第66回大会
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      2011-11-26

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi