本研究は、18世紀イギリスの感傷主義の分析と解明を行った。まず、18世紀の道徳哲学の感傷・感情に関するテーマ的・修辞的問題に目を向けることによって、道徳哲学における感傷主義の理論的な構造を解明し、つぎに、思想史的な研究によって得られた知見をもとに感傷小説とゴシック小説にアプローチし、広い意味での「感傷主義」の思想史的・文学史的射程をあきらかにした。また、18世紀イギリスに存在した感傷主義という思想的問題を、文学テクストがどのように取り込み、どのようにその問題を解決しようとしたのかを考察した。それをとおして、18世紀イギリスにおける思想的テクストと文学的なテクストがどのように関係していたのかという、理論的な問題の分析もおこなった。
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