研究課題/領域番号 |
22520229
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | イギリス・ロマン主義 / グローバリゼーション / オーストラリア / 南半球 / シェリー |
研究概要 |
本研究は、18世紀後半から19世紀前半の海外覇権への道を進む中で様々な「他文化」を国の内外に抱え込むことになったイギリスが直面した諸問題を、グローバリゼーションの初期の形態が孕んだ問題と捉え、現代のポスト・コロニアリズムの時代との相関性を考えつつ、総合的に考察する試みである。具体的には、ヨーロッパの植民地拡大に伴って、商品化、商業化される「自然」と「文化」の現実とそれが新しい国と言葉(イギリスと英語)に移植されていく過程を検討する。 本年度の研究は、前半でShelleyとインドとの関係を論文とし、次に、イギリス・ロマン派と南半球の遭遇に焦点をあて、7月にオーストラリア大使館、東京大学のアメリカ太平洋研究センターCPAS (Center for Pacific and American Studies, University of Tokyo)と共催で、"Imagining the Pacific, Imagining Australia"という国際シンポジウムを開催し、研究代表者も含め、オーストラリア、ニュージーランドからの研究者、国内の研究者と有意義な討議を行った。このシンポジウムでの発表とフィードバックを受けて、ShelleyやKeatsが想像力を使って作品化した未知の非ヨーロッパ的空間とヨーロッパ人との関わりを、実際に体験した、イギリス人Augustus Earle(初めてフリーランスで海外植民地の風物を描いた画家、旅行ジャーナリスト)と、オーストラリアで最初の職業画家となったJohn Lewinを比較した英語論文を作成し、現在、出版先を探している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シェリーとインド的表象についての論文をまとめ、また、国際シンポジウムを共催し、オーストラリアやニュージーランドの研究者の視点から見た南半球のグローバリゼーションと芸術の関係と、イギリス文学の視点から見たイギリス・ロマン主義時代のイギリス本国と南半球の関係の両方を合わせて討論でき、新しい知見が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の研究をさらに発展させ、イギリス・ロマン主義の時代をグローバライゼーションの時代の先駆けと捉え、そのヨーロッパを超えた地域への影響のあり方、商品化との関係をさらに考察する。特に、現在まであまり研究の進んでいない南半球、アジア地域への影響を中心にし、かつ、最終年度であるので、成果を活字化できるように進める。
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