研究概要 |
本研究では、トマス・エイモリー(Thomas Amory, 1691?-1788)の『ジョン・バンクルの生涯』(The Life of John Buncle, 1756-66)やローレンス・スターン(Laurence Sterne, 1713-68)の『トリストラム・シャンディの生涯と意見』(The Life and Opinions of Tristraffi Shandy, Gentleman, 1759-67)といった18世紀イギリス擬似自伝体小説を経て形成された、近代個人主義的な自我を持つ著者像が、世紀末に至って『ジェイムズ・ラッキントン四十五年の半生の回想録』(Memoirs of the Forty-Five First Years of the Life of James Lackington, 1791)といった実在の人物による自伝に言わば「逆輸入」される様を考察します。今年度はまず、18世紀イギリスの自伝および小説に関する文献を収集して読み進めるとともに、今回の主な研究対象である擬似自伝体小説『ジョン・バンクルの生涯』を精読し、その思想史的・文化史的背景を調べました。今年度の研究成果は、来年度に論文にして発表する予定です。その一方、もう一つの主要な研究対象であるローレンス・スターンの研究書、Thomas Keymer, ed.The Cambridge Companion to Laurence Sterneの書評を、日本英文学会中部支部の学術誌に発表しました。
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