本研究は、アメリカの詩人マイケル・パーマー(1943年生)が、ダンテの「多義性」(複数の意味を単一の単語や表現で共存させること)を適用し、「抵抗詩」の可能性を追求したことを証明した。パーマーにおける「抵抗」は、まずなによりも、戦争をめぐる独善的な観念を退けることを意味する。その目的は対位法的な視座に基づく分析であり、単純な二項対立の図式(善と悪、権力と大衆等)に嫌疑を挟むことにある。このようなパーマーの実践におけるパラドクシカルな性格は、戦争を推進するスローガンの奥底に潜む複雑な虚偽のメカニズムを暴き出す上で大いに効果を発揮する。以上の点を本研究は解き明かした。
|