研究課題/領域番号 |
22520239
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
小田 敦子 三重大学, 人文学部, 教授 (80194554)
|
キーワード | エマスン / ホーソーン / 英詩 / 象徴主義 / エッセイ / 自然 / ペルソナ / 意識の流れ |
研究概要 |
毎月、連携研究者である武田雅子の研究室で、研究代表者の小田と研究協力者の藤田佳子と3人で、海外協同研究者であるコルゲート大学サラ・ワイダー教授とはメールのやり取りを通じ、共同研究会をもった。昨年度に続き、エマスンの2週の詩集からエマスンの活動を網羅できるような訳詩集をまとめる作業を進めながら、エマスンの現代性を説明できるような特徴について、議論を深めた。特に、8月には小田と武田がエマスンの家の残るコンコードでワイダーと共同研究会をもち、詩の解釈や問題点について、詳しく検討することができた。また、ハーバード大学図書館のエマスン同時代の資料で、エマスンの詩作をめぐる状況がより明らかになった。6月にはハーバード版詩集が出版されたので、エマスンの詩作についてこれまでに解明されていることを確認することができたのは好都合であった。3月には武田が国会図書館で日本で出版された訳詩集を参照して訳語を確認したが、訳詩集はまとまりつつある。 小田はエマスンの現代性に関わって、昨年口頭発表を論文に加筆したものを共著書として発表した他、エマスンがNatureを執筆したと同時期の詩がいち早く、その後のエッセイの展開を予告していることを指摘した論文を書き、エマスンの進化論的な自然観がエマスンの現代性の根幹を成す意識の流れ的な表現法に通じていることを明らかにした。武田はJohn HollannderのRhyme's Reasonの翻訳を進めているが、英詩全体のなかでエマスンの詩型の特徴について、有益な議論を主導した。藤田からはソロー学会などでの活動を視野に入れた、エマスン研究全体からの情報提供があり、それらをあわせ、今年度は、エマスンの全体像を網羅するための詩の分類について、はっきりした方向を出すことができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨夏、ハーバード版のエマスン詩集が出版され、それを参照できたことで、詩の解釈や研究の動向などについて、参照軸ができ、自分たちの研究の立場をはっきりさせることができた。エマスンの全体像を網羅する上で、重要な概念について、エッセイと詩との関係の観点からの考察も進み、かなり明白になった。それに基づいて、訳詩集の構成も固まり、解決すべき問題点もはっきりしてきたので。
|
今後の研究の推進方策 |
訳詩集の完成のために、引き続き、注や解説についての検討を進めて、出版原稿の形にまとめる。エッセイと詩との関係についての研究成果を発表し、エマスンの現代における重要性を広めるために、サラ・ワイダー教授も含めた発表の場をもちたい。
|