研究概要 |
最終年度であるので、訳詩集作りの完成とエマスンの詩の現代性についての研究の成果報告をめざして、毎月、連携研究者である大阪樟蔭女子大学教授・武田雅子研究室で研究会をもち、一通り完成した翻訳を2011年出版のハーバード版エマスン選集のPOEMSの注釈との照合を中心に、共同研究者の藤田佳子にも参加してもらい詩の解釈について議論を深めた。訳と注釈の編集作業は完成に近づいたので、研究代表者の小田敦子は出版社との交渉を開始した。 この間、海外共同研究者である元Emerson Society会長でコルゲード大学教授・Sarah WiderとはEメールでやり取りを続けた。その結果、エマスンの現代性を「自然」観の転換として捉えることが、エマスンの詩のエッセイ理解についての有効性を示すよいテーマになると考えるようになった。秋のアメリカ文学会全国大会で、成果発表として、共同研究グループ全員によるワークショップ "Reading Nature, Teaching Nature"を企画し、その提案は採用された。 夏には、研究代表者の小田敦子がアメリカに行き、ハーバード大学図書館を中心に、エマスンの詩と自然とに関わる19世紀の批評について資料収集を行うとともに、Widerの他、From Emerson to Kingの著者であるボストン大学教授Anita Pattersonとも、エマスンの詩の特質について議論を深め、秋のワークショップの準備を進めた。 2012年10月14日のアメリカ文学会で上記ワークショップを開催した。小田とWiderはエマスンの『自然』の複雑さを読むことについて、武田と藤田はエマスン或いは『自然』を教室で教えることについて発表し、多くの聴衆を得ることができ、質疑応答も活発で、エマスンの真価を共有できるようにするという研究の目的にかなったワークショップになった。
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