本研究の目的は、19世紀における欧米の植民地政策が今日の世界システムの構築に少なからず影響を与えたことを検証するとともに、インドと日本の近代化を、イギリスの近代化と対照してあぶり出すことである。そしてその成果を平成24年度に著書として発表する。そのため、平成22年度では、以下の3点の研究・調査を行った。 1. 平成19年度から21年度の科学研究費補助金(基盤研究(C))のもとでイギリス領インドを扱った主要な小説と旅行記の調査・分析を行ったが、平成22年度においては、研究をより完全なものにするために、絶版になった著作や忘れ去られた著作の調査・収集を行った。ただ、そのような資料は日本国内には十分に存在しないために、イギリス国内の大英図書館等の図書館や、書店での資料収集を実施した。(平成22年8月23日~9月6日に実施) 2. 本研究は、イギリス、インド、そして日本の3方向の視点から、19世紀から20世紀にかけてのインド以東の東アジア政策とそれらの地域の近代化への影響を複眼的に検証すものであるが、現時点では、インドの視点からの調査が不足している。そのため、バングラディシュのダッカ大学での資料収集、及び、イスラム大学において当該大学の人文社会学部所属のマムヌール・ラーマン准教授との議論や情報交換を行うとともに、資料収集を行った。(平成23年3月4日~12日に実施)また、イスラム大学で、「日本文化と女性について」(平成23年3月8日)と、「日本の近代化-芥川龍之介と川端康成を中心に」(平成23年3月9日)という題目で講演を行った。 3. 日本の近代化の資料については、国会図書館(本館)において、特に第2次世界大戦前の資料を調査する。(平成23年3月22日~26日に実施)
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