初年度にあたる22年度の研究計画は、研究の足がかりとして、これまで殉教研究において考慮されることのなかった児童書や教育書等の文献資料にあたり、それらを調査・収集することであった。本研究では特に子供の殉教に的を絞り、これまでの殉教研究があまり調査対象としてこなかった教育書、小説、教訓詩など幅広い領域をカバーすることによって多角的なアプローチを試みることが狙いであったため、充実した文献の調査・収集は、研究を進めていく上で不可欠であった。 文献収集の方法としては、17世紀から18世紀にかけての文献についてはEEBOやECCOなどの電子データベースを利用し、さらに入手困難な資料については、連合王国で調査を行う計画であった。 この計画に基づき、 1.17世紀から18世紀にかけての(1)子供の伝記(2)殉教者から我が子へのAdvice Books・遺言(3)教訓詩などについて、国内で電子データベースを利用して調査・収集を行った。 2.8月に渡英し、Oxford大学図書館やBritish Libraryで資料の調査・収集を行い、日本では入手困難であった宗教書(特に殉教論争論文・パンフレット版殉教小説など)を入手した。 以上のように、殉教研究にこれまでとは異なる新しい視座を導入するために、初年度の目標としていた多分野にわたる文献資料の調査・収集を計画通り行うことができ、次年度以降の研究の基盤を築くことができた。
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