研究概要 |
25年度前半はロバート・ブラウニングの作品研究を行った。前年度に分析した、Dramatic Lyrics (1842)、Dramatic Romances and Lyrics (1845)、Men and Women (1845)、Dramatis Personae (1864)に加えて、Pauline (1833), Paracelsus (1835), Sordello (1849), The Ring and the Book (1868-69)の分析研究も合わせて行った。 25年度後半では以上の分析研究をロマン派の継承の問題から考究したものを論考としてまとめた。本論考は、ブラウニングのロマン派に対する曖昧性がブラウニング独自の技法である、「劇的独白」を生み出す一因となったとするものである。ブラウニングの初期長編詩におけるロマン派的な特質を明らかにしながら、それがどのような形で文学史上の先達から離反しようとする傾向を有しているかを読み解いた。さらに、ブラウニング詩人のキャリアに対する意識を手掛かりにしながら、劇的装置がどのように自らのキャリアを劇的にするために機能しているのかを論じた。この論文は分量が多めになったので、紀要論文として26年3月に発表した。これで、テニスンとブラウニングという二人の代表的ヴィクトリア朝詩人について、テーマについての研究分析を終えることができた。(テニスンの論文については、現在修正中であり、再度投稿の予定である。) 年度を通してブラウニング研究を行ったが、このテーマを最終的に完成させるべく、スウィンバーンとロセッティの作品について研究を始める準備も始めており、多くの資料整備を行った。
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