19世紀のイギリス詩における詩人像形成はロマン派から始まり、ヴィクトリア朝において熟成する。この経過、すなわちロマン派が作り上げた詩人像あるいは詩想をどのようにヴィクトリア朝文人が継承、消化し変化させたのかを、両時代の文人を比較対照することによって浮き彫りにした。具体的には、ロマン派詩想からの影響を、ヴィクトリア朝詩人(テニソン、ブラウニング、スウィンバーン、ロセッティ)とヴィクトリア朝散文家(モリス、ラスキン)において考察した。その中で、キャリア形成なども含む、文人のアイデンティティ形成がどのように作風の確立を通して行われたかを、個々のケースにおいて論証した。
|