本研究は、アメリカの文学において、階級というテーマがどのように扱われてきたか、更にそこから見える作家の階級意識の解明を目的としている。アメリカ社会では、建国の精神として「平等」が歌われてきたため、これまで階級というテーマでのアメリカ文学での議論はほとんどされてこなかった。今回の研究では、従来の解釈では見えなかった作品の新しい発見を提示し、結果、さまざまな要因で構築されていく階級格差が、実は、アメリカ社会の抱える根底的な問題であることを論証する。具体的には、アメリカの階級を作り出す要因として、「産業資本主義」「人種やエスニシティ」「ジェンダー」そして「地域性」の4つとし、それぞれの観点から作品へアプローチし、新たな作品解釈を生み出している。
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