研究概要 |
平成23年度は、下記の顕微鏡関連文献を精読した。 (1)18世紀視覚芸術、美学・美術理論関連の文献を精読した。とくに重要な文献のひとつである、Sir Joshua Reynolds, Discourses on Art(1797)の精読を始めた。Reynoldsの著作は優れて反顕微鏡的言説であることを鋭く指摘した、William Hazlitt("On Certain Inconsistencies in Sir Joshua Reynolds's Discourses",1814)も併せて精読した。 (2)The Spectator(1711-1712)を創刊したJoseph Addisonは、読者管理のための有効な論理的基盤を求めた際、顕微鏡的表象のレトリックをこれに利用したと思われる。Addisonは、顕微鏡学者の自然観察の技術を社会観察や教育に応用しようとしたと考えられのでこの点を深く考察した。上記の文献の精読と考察と併せて、18~19世紀イギリス哲学や文学に現れた顕微鏡的言説・図版の影響を考察する。とくにJohn Locke, George Berkeley, Jonathan Swift, Alexander Pope, Christopher Smart, William Cowper, William Blake、William Wordsworth,S.T.Coleridge等の作品を本研究課題の視点から捉え直した。 (3)顕微鏡的言説に関する新刊書Denise Gigante, Life: Organic Form and Romanticism(Yale UP,2009)を精読した (4)入手したデータや分析した結果を主題・項目ごとにまとめ、必要に応じてコンピュータ入力をした。
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