研究課題/領域番号 |
22520263
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研究機関 | 宮城学院女子大学 |
研究代表者 |
鈴木 雅之 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (50091195)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 顕微鏡的眼 / 奇形学 / 『ミクログラフィア』 / 『美術講義』 / Sir Joshua Reynolds / William Blake / Joseph Warton / William Hazlitt |
研究概要 |
平成24年度は顕微鏡関連の下記文献を精読した。 ①18世紀視覚芸術、美学・美術理論を代表する文献、Sir Joshua Reynolds, Discourses on Art (1797)の精読を続けた。Discoursesに畸形学(teratology)や怪物学(science of monsters)が潜んでいることを指摘した。②ロマン主義時代の詩人たちのなかでも、William Blakeの預言書に顕微鏡からの深い影響があることを指摘し、James Thomsonや Joseph Wartonの作品・批評との詳しい比較検討を行った。 ③顕微鏡と19世紀に大流行をみた博物学(植物学)は密接な関係にあるが、この影響関係を考察した(平成25年度にも続行予定)。ラファエロ前派の画家たち(William Holman Huntほか)、John Ruskin, Edmund Gossなど、詩人としてCharlotte Smithの植物学的作品、植物学からの強い影響を受けたLord Tennyson作品などは、本研究課題にとって極めて重要な考察の対象となる。④上記①~③に関連する研究書や論文、関連ジャーナルを数多く入手し精読した。⑤入手したデータや分析した結果を主題・項目ごとにまとめ、必要に応じてコンピュータ入力をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題に関する基本一次資料の精読はほぼ順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
Sir Joshua Reynolds, Discourses on Art に奇形学や怪物学、生物学からの影響があることを発見したのは貴重な成果のひとつである。この点は、William Blakeのテクストには病理学的細胞学からの影響が読み取れることと深い関連がありそうである。本研究課題の最終年度平成25年度は、今年度と同様の作業を継続しつつ、ヴィクトリア朝の作家、博物学者、詩人のなかに、顕微鏡文化を読み取ることが目的となる。
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