研究課題/領域番号 |
22520266
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
溝口 昭子 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (00296203)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 英語文学 / 南アフリカ / 大英帝国 / 氾アフリカ主義 / 想像の共同体 |
研究概要 |
前年度の課題であったSol Plaatjeの小説Mhudi研究、およびPlaatjeの「想像の共同体」と「彼の多言語性とその翻訳/通訳作業」の関係に関する研究については引き続き研究を進めてきた。Mhudi研究については、特にそのcolonial modernityとmodernismとの関連について研究を進め、2012年9月6-9日に英国Leedsにて開催された学会2012 ASAUK biennial conferenceにて9日に、”Rethinking Nationalism: Re-imagining Community in Sol Plaatje’s Mhudi”という題目で発表を行い、同領域研究者からfeedbackを得る。現在関連論文を執筆中である。さらに、「彼の多言語性とその翻訳/通訳作業」においては、まず南アフリカ社会の英語や多言語性について下調査を行い、その結果は、南アフリカ社会の多言語性を歴史的・言語的観点から論じた考察として、10月14日に津田塾大学言語文化研究所研究会での発表「District 9 (2009)におけるポストアパルトヘイト時代の喪失、共存、雑種化の行方」に含められた。同様の考察が共著『世界の英語を映画で学ぶ』(松柏社)(2013年4月刊行予定)に収められる。Plaatjeの翻訳/通訳作業の関連に関する研究では、『黒人研究の会会報』において「プラーキ研究、『ジュリアス・シーザー』観劇、ASAUK学会参加報告」の中にPlaatjeによるShakespeare作品のツワナ語翻訳の政治性についての考察を載せた。なお、Shakespeare作品のPlaatjeによるツワナ語翻訳については、ツワナ語から英語への翻訳を依頼予定であったが、Rhodes大学で同様のプロジェクトが進行中であることが判明し、現在連絡中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究実施計画にあった英国LeedsにおけるASAUKでの学会発表申請は、受理され計画通り発表を行い、その後それをもとにした論文を執筆しているがまだ完成していない。これは想定外の健康上の理由による(その健康上の問題は現在解決済)。また、PlaatjeのShakespeare作品のツワナ語翻訳を英語へと翻訳する作業を委託し謝金を払う計画も実施が遅れている。それは、Leeds大学での学会で海外研究者の情報により南アフリカのRhodes大学にて進んでいる同様のプロジェクトを知り、連絡を取ることが必須であると助言をうけ、何度かプロジェクト担当者(直接だけなく、関係者を通じても)に連絡を試みているが、全く返事が来ないことによる。
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今後の研究の推進方策 |
2013年度に研究休暇に入り大学業務を離れて研究に専念できるため、今までの約7倍の時間を本研究課題に費やせる見込みである。また、研究休暇中はそのほとんどを、客員研究員として英国オックスフォード大学にて研究予定であるため、同領域の研究者との交流も容易であり、自分の専門領域の蔵書や資料に大学図書館やBritish Libraryで直接アクセスすることが可能である。それによって飛躍的に伸びる研究面での生産性を生かし、今までの遅れを全て取り戻す予定である。現在執筆中の論文を完成させ、2012年度に遂行できなかったShakespeare作品のツワナ語からの英語への翻訳は、Rhodes大学からの返事を待たずに独自に翻訳者を探し(翻訳終了後は謝金を払い)、論文執筆を始める予定である。2013年度にあらかじめ計画されていた研究予定も問題なく遂行する。
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