研究課題/領域番号 |
22520267
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
大場 昌子 日本女子大学, 文学部, 教授 (80160612)
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研究分担者 |
佐川 和茂 青山学院大学, 経営学部, 教授 (20137871)
坂野 明子 専修大学, 文学部, 教授 (20153900)
伊達 雅彦 尚美学園大学, 総合政策学部, 教授 (00254889)
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キーワード | ユダヤ系アメリカ文学 / ホロコースト表象 / ゴーレム |
研究概要 |
4名の研究者は、それぞれが担当する作家-ベロー、マラマッド、シンガー、ロスーに関する先行研究の収集を行い、ホロコースト表象について先行研究が提示している/いない議論を把握する作業を各自進めた。 2010年12月には研究会を開き、佐川がスーザン・フロムバーグ・シェーファー(1941-)の『バッファロー・アフタヌーン』(1989)について発表し、ヴェトナム戦争を舞台とする同作品が、ホロコースト表象の一つの変容と理解しうる点について全員でディスカッションを行った。 また、2011年2月19日には、近年ユダヤ系作家たちがしばしば扱う「ゴーレム」を理解するために、日本女子大学学術交流研究による公開シンポジウム「ゴーレムの表象-ユダヤの人造人間と現代」を、日本女子大学目白キャンパスに於いて企画・開催した。佐川が「シンガーとヴィーゼル-ユダヤ児童文学におけるゴーレム」、坂野が「ゴーレムと笑い:ホロコースト第二世代の試み-セイン・ローゼンバウムの場合」、大場が「シンシア・オジック『プッターメッサー・ペーパーズ』」、伊達が「日米の小説・映画・アニメにおけるゴーレム」を発表した。シンポジウムには東京大学大学院教授の金森修氏、および大阪大学大学院准教授の片渕悦久氏にも参加していただき、金森氏が「亜人ゴーレム」を、片渕氏が「ゴーレムあるいは/そしてエスケーピスト:マイケル・シェイボン『カヴァリエとクレイの驚くべき冒険』」を発表された。「ゴーレム」という表象をめぐって、ホロコースト、歴史、生命、継承といったテーマが浮かび上がり、ホロコースト表象と「ゴーレム」との関わりを精査する必要性を明確にすることができた。ゴーレムに関するシンポジウムの開催は国内初であり、変容するホロコースト表象の一つとしての「ゴーレム」を確認できたことは、今年度の研究成果として大きな意義をもつものである。
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