研究課題/領域番号 |
22520267
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
大場 昌子 日本女子大学, 文学部, 教授 (80160612)
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研究分担者 |
佐川 和茂 青山学院大学, 経営学部, 教授 (20137871)
坂野 明子 専修大学, 文学部, 教授 (20153900)
伊達 雅彦 尚美学園大学, 総合政策学部, 教授 (00254889)
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キーワード | ユダヤ系アメリカ文学 / ホロコースト表象 / ゴーレム |
研究概要 |
4名の研究者は、各自が担当する作家、ソール・ベロー、バーナード・マラマッド、アイザック・バシェヴィス・シンガー、フィリップ・ロスについて、作品におけるホロコースト表象の検証を進めた。7月の研究会では、伊達がベローのMfr.Sammler's Planetについて研究報告を行い、ベローの作品群の中ではホロコーストを正面から扱っている点で特筆に値する同作品について、全員で議論した。また、ホロコースト表象という観点ではもちろんのこと、作品自体も日本ではほとんど取り上げられることのないユダヤ系アメリカ人女性作家2人、レベッカ・ゴールドスタインとノーマ・ローゼンを坂野と大場が担当し、4月の研究会ではゴールドスタインのMaael,12月の研究会ではローゼンのTouching Evilを全員が読んだ上で、女性作家のホロコースト表象について把握した。今年度はさらに、米国でのホロコースト表象研究の初期段階の成果である、S.リリアン・クレマー著、Witness through the Imagination:Jewish American Holocaust Literature(1989)を全員で検討し、2012年3月の研究会で佐川が同書の詳細にわたる評価を行い、次年度に研究最終年度を迎える本研究で確実に押さえるべき事項を再確認した。 並行して4名は、前年度開催したユダヤ伝説上の人造人間「ゴーレム」に関するシンポジウムの内容を各自深化させ、年度末までに論文を完成させた。4名の論文と、シンポジウムに参加していただいた金森修氏(東京大学大学院教授)と片渕悦久氏(大阪大学大学院准教授)の論文は、まとめて編集し、2012年度に出版する予定である。ホロコーストとの関連において浮かび上がった「ゴーレム」は、文学作品や映像作品において様々に変容しながら今日まで受け継がれており、6名の論文はそのことを具体的に確認する結果となり、充実した内容になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2011年度は4回の研究会を開催し、各自の研究成果も論文や口頭発表で順調に公表できた。さらに、ゴーレム表象研究という日本ではほとんど未開拓の研究領域において、次年度の出版に向けて論文を完成できたことも、大きな進展である。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度の次年度は、これまでの総括として各自が担当する作家についての研究成果を論文にまとめる予定である。また、すでに完成しているゴーレム論文については編集作業を行い、出版する。
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