平成22年度は初年度として、これまで申請者が行ってきたオーストラリア(豪)における日本及び日本人の描写変遷の研究成果を本研究に生かしつつ、背景となるこの研究をさらに進展させ、21世紀も10年を経たあいだに日豪関係が文学にいかに表象されたか検証するべく、資料収集や聞き取り・面談調査をするための研究体制をまず確立した。 4月~7月は、一次資料及び批評・研究書、関連和書等の文献表を作成し収集を開始した。 8月にはキャンベラのオーストラリア国立大学(ANU)、国立図書館、戦争記念館、公文書館等で資料を収集し、ANUのハンク・ネルソン教授と田村恵子研究員と面談、おもに太平洋戦争と日豪関係について研究打ち合わせを行った。シドニーでは作家で西シドニー大学教授のゲイル・ジョーンズ氏と面談、おもに21世紀豪文学について研究打ち合わせを行った。23年度には、今回訪問が叶わなかったウロンゴン大学、ブルームの資料館で、地域的歴史背景や先住民に関わる日本人像についての資料を収集する予定である。 9月以降は、収集資料の分析に当たるとともに、11に示した関連論文執筆を行った。また共著書『新版オセアニアを知る事典』の項目執筆に本研究の成果の一部を用いた。さらに23年度に予定している『南半球評論』27号(23年12月刊行予定)への投稿論文執筆と、23年12月に行われる「アジア・太平洋地域の文化・文学学会」(パース、西オーストラリア大学)での口頭発表の準備を進めている。
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