研究課題/領域番号 |
22520269
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
加藤 めぐみ 明星大学, 人文学部, 教授 (30247168)
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キーワード | 日豪関係 / オーストラリア文学 / 太平洋戦争 / 多文化主義 |
研究概要 |
平成23年度は、初年度から引き続き、これまで申請者が行ってきたオーストラリア(以下、適宜豪)における日本及び日本人の描写変遷の研究成果を生かしつつ、背景となるこの研究をさらに進展させて21世紀も10年以上を経たあいだに日豪関係が文学にいかに表象されたか検証することを目標とした。そのための日・豪における資料収集や聞き取り・面談調査を行い資料分析と論文執筆にあたった。 4月~7月は22年度に収集した一次資料及び批評・研究書や、関連和書等の文献表をもとに論文執筆を行った。 8月にはブルームの歴史博物館、ノートルダム大学等で資料を収集、キャンベラの豪国立大学(ANU>、国立図書館、戦争記念館、公文書館、国立音声・映像文書館等で資料収集し、ANUの田村恵子研究員、防衛大学のB・ベネット教授と面談、研究打ち合わせを行った。 出張後は収集資料の分析に当たるとともに、関連論文執筆と口頭発表原稿準備を行った。(→13)また本研究の成果の一部である共著書『日本とオーストラリアの太平洋戦争-記憶の国境線を問う』(御茶の水書房、第10章担当)の原稿準備を同時に進めた。 12月には文学史的に見たブルームと和歌山県太地町の19世紀からの関係を、21世紀の日豪関係のコンテクストで問い直す内容の口頭発表(英語)を西オーストラリア大学で行った。本学会では西オーストラリア大学の曽根幸子研究員と研究打ち合わせを行い、日本と特に関係が深い西オーストラリア州における日本人についての歴史資料や先行研究について今後の協力を得ることとなった。本発表の原稿は『南半球評論』第27号に掲載している。(→13) また3月には研究成果の一部として、集英社「コレクション戦争と文学」の第15回配本『戦時下の青春』に同封された月報10号に「オーストラリア文学と戦争-太平洋戦争を中心に」を掲載し、文学に見られる日豪関係と戦争についての背景知識を一般読者に還元することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
書籍刊行のための章立て其々の内容について、ほとんどまとめの段階に入っている。幾つかの確認事項が残っており、本年度8月予定の調査・研究打ち合わせで問題点について詰める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
11で述べたように、25年度に本研究を取りまとめて学術書としての書籍出版することを目標とし、これまでの成果を統合し原稿の礎をなす論文として仕上げる。またこのための出版社との打ち合わせ協議に入る。 7月にはこれまでの成果をもとに東京大学アメリカ太平洋地域研究センター主催のシンポジウムでパネリストとして発表予定。8月にはキャンベラ、メルボルン、シドニーで不足資料の収集と研究打ち合わせを行う。また『南半球評論』28号、『オーストラリア研究』26号への論文掲載を予定している。
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