研究概要 |
奴隷貿易の成立からヨーロッパ大陸での奴隷貿易の拡大について、Eric Williams, Capitalism and Slavery(1944), Kenneth Morgan, Slavery and the British Empire(2007)などの新旧の定評ある研究書を読んだ。それによって、18世紀後半から19世紀初めにかけての、イギリスの奴隷貿易を広義の歴史的文脈で理解することができた。イギリスの海外植民地拡大の上で原動力となった海軍については、Brian Lavery, Nelson's Navy: The Ships, Men and Organisation 1793-1815(1989); Peter Goodwin, Nelson's Victory: 101 Questions & Answers about HMS Victory Nelson's Flagship at Trafalgar 1805(2004)から詳細な情報を得た。その延長で、オースティン以降のイギリス本国とインドの関連についても考察した。 奴隷制廃止運動については、William Wilberforce(1759-1833)の著作を読んだ。その結果、福音主義信仰と人道主義が結びつき、奴隷制廃止運動がイギリス全土にわたる政治的運動になった流れが明らかになった。女性のチャリティと社会進出については、Elizabeth Heyrick Coltman, Immediate, Not Gradual Abolition(1824)等から有効な示唆を得た。 これらの研究成果は、共著『現代インド英語小説の世界-グローバリズムを超えて』(鳳書房,2011)「奴隷貿易-ファニーとジェインの口の端にのぼるとき」,Seijo English Monographs 43(2012):187-216にまとめた。 平成24年3月12日~20日までイギリスに出張し、大英図書館等で資料収集を行った。
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