本研究の目的は、明治の終わりから大正にかけて日本を訪れた欧米西洋人劇団のシェイクスピア上演が、坪内逍遥や小山内薫など日本の知識人に与えた影響を研究することである。その際、インド、シンガポールなどの大英帝国諸国を巡業していた西洋人劇団が現地の知識人や人々に与えた影響と比較検討したいと考えている。研究成果は国内外の学会で発表するとともに、著書としてまとめる予定である。また、ホームページを作成し、研究成果をインターネット上で広く公開する。23年度は、日本における西洋人劇団の上演、とくに1891年に来日したミルン一座と1912年に来日したウィルキー一座のシェイクスピア上演を国内外での資料収集をもとに明らかにした。また、西洋人劇団の上演の影響を受けた坪内逍遥が1911年に演出した『ハムレット』の上演について、早稲田演劇博物館などで資料収集をした。貴重な資料や写真を収集することができた。大きな成果である。これらの資料をまとめ、プラハで行われた第9回国際シェイクスピア学会で発表し、大きな成果を得られた。
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