いわゆるスコットランド啓蒙の時代に古都エディンバラで活躍した銅版画家ジョン・ケイの作品はこれまで日本で 紹介されることはなかった。またケイ作品は今日までエディンバラにおいてもその存在をほとんど知られることはなかった。 その意味でケイの作品を紹介した『古都エディンバラ畸人伝ージョン・ケイが描いたスコットランド啓蒙の時代』(2012年3月 昭和堂)の出版は本研究の中心的成果であった。 2013年度においてはスコットランドにおける銅版画の伝統のなかで重要な位置をしめる John Slezer の Theatrum Scotiae について、その歴史的位置づけなどを行い、論文として発表した。 その論文の内容は、京都ノートルダム女子大学図書館が2012年度に購入したSlezer の当該資料(1693年初版)に基づき、その解題および実際に挿入されている銅版画によスコットランド各地の町の景観あるいは廃墟となった教会等々の検証などであった。 Slezer のTheatrum Scotiae についても、一部を除きこれまであまり研究されていないので、スコットランド全体の歴史、あるいは個別に銅版画の伝統等についての分野で今後の研究が多いに期待される。
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