平成22年度においては3つの研究成果があった。ひとつは、1913年にロンドンで初演されたバーミンガムの演劇General John Reganの台本を大英図書館で入手できたことである。過去、当研究者はこの作品を論じるために小説版(1913年)と改定された演劇版(1933年)を用いてきたが、このオリジナル台本が入手できたために今後はより正確にこの作品を論じることができる。この演劇の舞台はアイルランド西部のウェストポートで、この町で1914年にこの演劇が上演された時、アイルランド演劇史上最悪の暴動が起きた。この暴動の分析と作品の真の意図についてウェストポート歴史協会の機関誌に論文を投稿した。平成23年度末に出版される予定である。 第2の成果は、第二次世界大戦におけるイギリスとドイツの戦いをユーモラスに描いた小説Appeasement (1939)を読み、IASIL JAPAN国際学会(東京大学)で研究発表したことである。この小説も、人間同士の融和のためにはユーモアの精神が不可欠であることを実証した作品であり、愛と寛容に基づいた深いバーミンガムのキリスト教精神をさらに認識することができた。 第3の成果は、バーミンガムに関するホームページ(http://geo-birmin.com)を作成したことである。今後はこれを基に研究を膨らませてゆき、最終的にはバーミンガムに関する研究書の出版に結び付けてゆく予定である。またホームページ作成の過程においてバーミンガムに関する新たな文献資料の存在を知ることができたのも成果であった。
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