研究概要 |
22年度はまず、『八月十五夜の茶屋』の小説、演劇、映画、テレビ、ミュージカルなど、本作品に関連する様々な資料、情報の収集に当たった。琉球大学図書館、沖縄県立図書館、沖縄県立公文書館を始め、国立国会図書館関、国立近代美術館フィルムセンター、日本大学図書館、コロンビア大学図書館、カリフォルニア大学図書館(UCLA, UC Davis, UC Berkeley)、スタンフォード大学図書館、ニューヨーク市立図書館、ニューヨーク近代美術館フィルム・アーカイブ、Paley Media Centerなど、様々な場所に赴き、当時の新聞や雑誌上の記事、出演者に関する資料、研究論文、スクリプト、ポスターなどを収集し、日本国内では入手困難な資料を収集することができた。特に、ニューヨーク市立図書館において、1955~56年当時のブロードウェイ上演時の音声やサウンドトラックを手に入れることができたことは有意義であった。また、1962年に『八月十五夜の茶屋』がテレビ番組ヴァージョンで放映されていたことが発覚し、実際にその番組を鑑賞することもできたが、著作権の関係上複写をするには至っていない。いずれにせよ、次年度以降に行う沖縄とアメリカでのシンポジウムや学会発表の原稿執筆のための資料をある程度収集することができ、本作品の誕生から翻案の過程、受容などを探る上で大いに収穫があった。 研究代表者は、1月に沖縄キリスト教学院大学で開催された、英文学と沖縄関係のシンポジウムにおいて、映画『八月十五夜の茶屋』における沖縄の子供化についての発表を行った。また、3月刊行の沖縄工業高等専門学校紀要に小説と映画を比較した論文を発表した。さらに、研究分担者の渡久山は、アメリカ大学図書館で収集した資料を基にまとめた「沖縄人を演じるマーロン・ブランド-『八月十五夜の茶屋』のイエローフェイスの意味」と題して、研究ノートとしてまとめ、沖縄外国文学会の機関誌に発表した。
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