研究課題/領域番号 |
22520289
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研究機関 | 沖縄工業高等専門学校 |
研究代表者 |
名嘉山 リサ 沖縄工業高等専門学校, 准教授 (80455188)
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研究分担者 |
与那覇 晶子 琉球大学, 非常勤講師 (30412860)
渡久山 幸功 琉球大学, 非常勤講師 (20412869)
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キーワード | ヴァーン・スナイダー / ジョン・パトリック / 沖縄 / 民主化政策 / 米軍占領 / ブロードウェイ / ハリウッド / 芸者・ジュリ |
研究概要 |
23年度は前年度収集した資料などをもとに、それぞれが論をまとめ、9月に沖縄県立博物館・美術館講堂で映画上映会・シンポジウムを開催した。小説担当の渡久山は、出版から丸60年が過ぎたが、学術的研究がほとんどなされていないスナイダーのベストセラー小説における実体験の小説化の意義について論じ、アメリカの極東アジアでの占領政策に対する作者の提言を読み取った。演劇担当の与那覇は、ブロードウェイ、歌舞伎座、沖縄の基地内公演のそれぞれの特徴を紹介し、その受容などを探った。映画担当の名嘉山は、アメリカ、日本、沖縄で当時出版された新聞や雑誌に掲載された映画評などの比較検証を行い、同じ映画が違う国や土地でどのように売り出され、受け取られたかの分析を行った。シンポジウム会場では、県内の収集家の方から拝借した1950年代当時の映画のポスターやパンフレット、スナイダーの作品や舞台の写真などの資料の展示も行い、立ち見が出るほどの盛況だった。シンポジウムの司会進行は本作品に精通している琉球大学教授の山里勝己氏に依頼し、それぞれの発表に対して建設的なコメントを頂いた。フロアとの質疑応答も意義深いものとなった。アンケートの結果やコメントからも、県内外の一般市民の方々がこの研究課題に大変興味を持ち、研究の深化を期待していることがうかがえた。 与那覇は演劇に関する研究ノートを沖縄外国文学会学会誌に発表した。名嘉山は九州アメリカ文学会大会で、小説における米軍・沖縄住民による民主化政策という観点から研究発表を行い、映画に関する研究ノートを沖縄外国文学会学会誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヴァーン・スナイダーに関する資料収集は思いのほか難航しているが、それを除けば当初の計画通り、沖縄県内でシンポジウムを開催し、それぞれが担当分の研究成果を発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き作者に関する資料収集を行い、関係者からのインタビューもできれば行いたい。研究成果を日本演劇学会などで発表する予定。また英語でまとめて、アメリカの学会(Popular Culture Association/American Culture Associationの年次大会、於ワシントンDC)でも発表を行い、その際に以前収集できなかった資料に関しても収集を行い、最終報告書や著書執筆に向けての準備を行いたい。
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