研究課題/領域番号 |
22520290
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 純一 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (30216395)
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研究分担者 |
西村 龍一 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (10241390)
佐藤 拓夫 北海道大学, -, 名誉教授 (20091457)
高橋 吉文 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 特任教授 (20091473)
石川 克知 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (30142665)
山田 貞三 北海道大学, 文学研究科, 教授 (50128237)
吉田 徹也 北海道大学, -, 名誉教授 (80003531)
堀田 真紀子 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (90261346)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | メディア / メタファー / テクスト論 / 批評理論 |
研究概要 |
本年度は、当初の研究計画の方針と得られた知見による派生的な問題意識に沿って、以下の3点に重点を置きながら研究を進めてきた。すなわち、前年度までにすすめられた①ユダヤ教を中心とする宗教思想テクストの分析の継続、②映像作品にみられるメディアとメタファーの関係性の解明とその効果の検証、また新たな理論的な側面として③メディアとメタファーの<接続>と<切断>という機能が、思想、テクスト、作品、批評等の構成と再構成が交替する運動とどのように関連しているのかの考察、の三点である。①に関しては、前年度に引き続きローゼンツヴァイク等ユダヤ思想家の宗教テクストというメディア分析において、一神教の唯一性志向と社会的な同化という共同性志向の二極間の揺れをメタファーが可視化すると同時に仲介原理の機能も果たしていることが確認された。②に関しては、『騎士物語』の映像化された作品や国内外のアニメ(例えば『ほしのこえ』等)の視覚的なメディア特性とその効果の分析がおこなわれた。暫定的結論として、テクストでは難しい具体的なイメージが喚起する抽象的な概念との<接続>(例えば「剣」と「欲望」、「雲」と「到達不可能性」等)から、それが時間的変化に伴い<切断>へ移行する物語構造の明示化に、メタファーが多大な効果をもたらしている、あるいはメタファーとして可視化されていることが確認された。さらに③に関しては、上述した具体的な表現の揺れや変化の分析から、変化を構成的な原理とする思想、作品、テクストを、それにもかかわらず一つのユニットとして保持することが可能なのは、メディアの内包するメタファー的な機能(構成と再構成の交替)に負っているのではないか、そしてドイツ語圏においては極めて意識的な方法論となっているのではないか、という仮説に達した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の報告にも書いたように、当初の研究計画の大枠を維持しつつ、理論的な仮説の検証と具体的なテクスト・作品・批評の分析が連動し、相互にフィードバックを繰り返しながら、理論はより精緻なものへと鍛えられ、また具体的な分析はより有効性の高い視点からおこなわれるようになってきており、それに応じて知見が積み重ねられている。このような作業の連続により、最終年度でもある次年度に予定されている成果の集約と理論的な再構成の試みも期待が持てる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度この項で述べた、若干分析が手薄になっている分野(メディア芸術作品等)に対する研究作業が今年度はある程度進行し、全体的なバランスが整えられてきている。よって、今後も基本的には、当初の研究計画の大枠に沿って、研究を進めていく予定である。ただし、次年度は最終年度でもあるので、前半はこれまでの研究を深化させる目的を持った作業を中心にするが、後半は、この研究全体で得られた成果を集約し、理論的な精緻化と、作品等の分析方法に関する具体的知見の整理を行うとともに、広く発信する方法を検討する。
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