ギリシャ悲劇には歌の部分が含まれている。このうちスタシモンと呼ばれる合唱歌は比較的、定義がしやすいが、それ以外の歌については、そもそもどのように分類すべきかいまだ明確な定義すらない。本研究は歌を全体として把握して、どの歌とどの歌が似通っており違いがあるとすればいかに違うのかを叙述する。 分類の基準は 1 誰が歌うか(コロスか役者か両方か) 2 ストロフェー/アンティストロフェー構造であるか 3 歌の途中で歌い手がセリフを挿入するか である。総数265の歌についていちおうの分類はできたけれど分類そのものに問題点が残る。こうした個別的諸問題を概括したのが論文『悲劇の歌の類型学・序説』である。
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