研究概要 |
研究初年の平成22年度は主として,本研究を推進する上で必要不可欠な関連資料,文献 (研究書,歴史書,歌謡集,文芸誌,CD,DVD等) の調査と収集をフランスにおいて行った。研究代表者の吉田は平成23年2月10日~20日にかけて主にパリにおいて,国立図書館やかつて隆盛した文芸キャバレーの跡地34軒の現状などを詳細に調査した。その多くはホテル,バー,レストラン,映画館など他の施設や店に代わっていたが,中には数軒ではあるが (La Vieille Grille,L'Echelle de Jacob等) 現在も小劇場やシャンソニエとして現存している所があることが分かった。とりわけモンマルトルのラパン・アジルほ,最も古い文芸キャバレーの一つとして今もなお文芸シャンソンや詩の朗読を聞かせてくれる場所として残っており,その現状を詳細に調査した。 研究分担者の三太原は,平成23年3月19日~30日にかけて,パリとロンドンを調査し,吉田が調査できなかった文芸キャバレー跡やカフェ・コンセールやミュージック・ホールの現状などを調査研究した。 今回の調査研究で,Julien Tiersot:La Chanson populaire et les ecrivains romantiques,ミューズ・ルージュ,ジュール・ジュイ,ジャン=バチスト・クレマン,アリスチッド・ブリュアン,シャ・ノワール等の多くの貴重な文献資料を発掘収集することができ、また国立図書館所蔵の豊富な資料の所在がつかめたことで,今後の研究遂行において大いに役立つものと思われる。 あわせて5月に信州大学で,10月に神戸大単において,2回のシャンソン研究会を開催し,研究発表と研究打合せを行い情報交換を行った。また,当研究会の研究誌「シャンソン・フランセーズ研究」第2号を上梓し,研究成果を発表した。
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