本研究計画は、『ボードレール』が「コレージュ・スピリチュエル」という題で文芸誌『コンフリュアンス』に掲載されるにあたり、1)戯曲『蠅』の原稿も編集部に戦時中に送付されていたこと、2)戯曲作品が希望を描くのに対してボードレール論が高い倫理観に根ざした行動の実践を要求していること、3)このサルトルの主張はフローベールを筆頭とした「フランス的精神」を批判することで成り立っているとも考えられる点でボードレール論は編集部の判断により戦時中には発表されなかったことを、フランス国立図書館における『コンフリュアンス』誌を始めとするドイツ占領下におけるフランス文芸誌を対象とした集中的な資料調査から明らかにした。
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