本研究「シュトゥルム・ウント・ドラングとヨーロッパ文化史との比較研究」の平成22年度における成果は、以下の2つの集約的成果と、幾つかの個別の成果として列挙することが出来る。 1、 平成22年7月末、ワルシャワ大学で開催された第7回国際ドイツ語学文学大会において、特にバルト海沿岸地域における、レンツを中心としたシュトゥルム・ウント・ドラングに関する発表を行い、日本における研究成果を披露し、各地の研究者とのコンタクトをとることが出来た。 2、 新学際研究領域を創成する、という本研究計画の最終的な目標達成のための第一段階として結成した比較文化研究会の研究叢書を上梓し、広く新学際研究領域の意義を知らしめた。 3、 ドイツ・オルデンブルク大学のデーリング教授の協力により、本邦では入手の難しいシュトゥルム・ウント・ドラング関連資料を収集した。例年、関連する学会においても幾つかの発表を行った。さらに、日本におけるシュトゥルム・ウント・ドラング研究・翻訳の総合書誌作成を継続した。詳細なシュトゥルム・ウント・ドラング年表もあわせて作成中である。 以上のような平成22年度の研究実績により、所期の研究目的である英仏文学史、音楽史、美術史における革新的傾向を持つ作品群の比較検討に際し、ドイツ文芸学から一つの概念定義を提出した。さらに、学際的・国際的なシュトゥルム・ウント・ドラング研究の基盤整備を進展することができたと総括できる。
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