研究課題/領域番号 |
22520328
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
今村 武 東京理科大学, 理工学部, 准教授 (60385531)
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キーワード | ドイツ文学 / 疾風怒濤 / 西洋文化史 / 18世紀 / 辺境 / コロニー / 音楽史 / 絵画史 |
研究概要 |
今年度の研究実績は、第一に、ドイツ文学史における時代概念「シュトゥルム・ウント・ドラング」を総括し、西洋史を俯瞰した上でその成立過程と他の芸術分野、社会史的事象との関連性を明らかにしたこと。第二には、本研究の一部およびその最新の知見を反映した研究書を上梓したこと、以上の二点に大きく分けることが出来る。前者はこの研究の内実を示し、後者は研究成果を公にし、社会に還元するというミッションの結果である。シュトゥルム・ウント・ドラング/疾風怒濤の成立過程における他の芸術分野との関連性に関して言えば、本研究は絵画との関連性をスイスの詩人であり後年ロイヤルアカデミー教授となったヨハン・ハインリヒ・フュスリを軸に研究を進め、音楽史との関連ではクリスティアン・フィリップ・エマヌエル・バッハとシュトゥルム・ウント・ドラング詩人とのサロン文化形成についての研究を進めることになった。地域研究との関連では、文化的辺境と言われたスイス、バルト海三国地域、さらにイギリス文学史、芸術史と、ドイツの文学疾風怒濤との密接な関係性を指摘した。この研究の成果を鑑みると、シュトゥルム・ウント・ドラングを一つの様式概念として、ヨーロッパ文化史における一つの研究分野を形成することが可能になったということが出来る。研究成果の公開に言及すれば、平成23年度科学研究費補助金・研究成果公開促進費の助成を受け、この研究成果を研究書の形で公刊できたことは、本研究の成果を広く知らしめるために資することになるはずである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
資料の収集および研究遂行にドイツ・オルデンブルク大学デーリング教授から特段のアドバイス及び配慮を受けることが出来たこと、また科学研究費補助金研究成果公開促進費の助成により、本研究の研究成果を中間段階で総括する機会を得たこと。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は順調に進展しているため、これまでの研究成果を総括、再検討し、包括的な研究計画をもれなく達成するよう配慮する。中間段階で研究成果を総括する機会を得たことに鑑み、研究後半部の着実な達成と研究成果公表に意を用いる。
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