研究成果は次の三点に集約できる。(1)専門用語「シュトゥルム・ウント・ドラング」のドイツ文学史における定義を明らかにした。戯曲のタイトルがその後時代概念として使用された過程も説明した。(2)「シュトゥルム・ウント・ドラング」はドイツ文学にのみ固有な現象であるというドイツ文芸学における従来の見解を払拭した。美術、音楽、オペラ舞踊、英文学、仏文学などにおける同時的な類似の革新現象と比較検討し、それは可能となった。(3)辺境、コロニー、被占領地域、外国における近代ドイツ文学の萌芽を検証した。本研究の成果は、18世紀後半のヨーロッパにおける文化的革新を目指す諸作品の連関を明らかにした。
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