研究課題/領域番号 |
22520332
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
岩井 憲幸 明治大学, 文学部, 教授 (60193710)
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研究分担者 |
服部 文昭 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (80228494)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 古代ロシア文語 / 古代教会スラブ語 / ブルガリア写本 |
研究概要 |
岩井の許では,Ostrの電子化した本文とファクシミリ版との対校作業を終え,verse順に並べ終えた。Savは電子化をほぼ終了し,並べ換えに着手した。この間,岩井はSavの基礎研究として1999年Knjazevskajaらの刊本によりsynaxarionの構成を調査・検討し次の結果を得た。1)第2サイクルはペンテコステ後第16週のみ設定。これに対しVat PalとArchは第17週迄設定。2)IncはI´が多い。ArchはIa。3)アンモニオス番号に誤りが多い。原因としてVat Palとは別理由が考えうる。4)Arch全体のsynaxarionの構成はSavに近似。ただし少なからぬ同異点が存し,1)に関連づけられる。 服部は従前の研究を踏まえ,ロシアのOstr,Arch,Mstの3福音書とOCS諸カノンや東ブルガリアのテトラ系写本間との再比較対照を行ない,従来の知見の上に,ロシアのアプラコスに共通する特徴点と各個性の別を明確化する事を図った。即ち11C~12Cルーシの言語での過去時制に関しArchに見られる諸例を手掛りとして当時のzhivaja rech’の姿に迫った。(その成果の一部はP.Piper他編論文集《Grammaticalization and Lexicalization in Slavic Languages:Proceedings from the 36th meeting of the Commission on the Grammatical Structure of the Slavic Languages of ICS》,Verlag Otto Sagner,2013(近刊)に掲載)。又,本研究を深化させる為,その基礎的アプローチの先駆者たるSreznevskij(1812-1880)の事蹟を調査・検討し,発表を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Savの電子化に際しヘルシンキ大学が公開するコーパスを利用して効率を高めようとしたが,テクストの精度が粗く,かえって思わぬ時間を費やした。又Ostrの諸記号を他本と統一的に処理する要があったなど,問題が散発したが,おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
「アッセマーニ写本」の性格をもう一度再検討する必要がある。「サバの本」のmenologionを調査・検討し,その上でこの書とロシアのアプラコスとの対比を明確化し,あわせてテクストの対校を深化させたい。
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