研究概要 |
今年度は,研究課題の2年目で,本務校の特別研究期間と重なったおかげで、6-7月と2月に渡仏が可能となり,大いに研究を進捗させることができた。 (1)2011年6月第10回オック語オック文学国際学会(ベジエ,CIRDOC,モンペリエ大学)に参加し,"Messages ambigus dans Le diptyque de L'etourneau (Marcabru: PC293, 25-26)"(6月17日)を発表した、 (2)フランス国立図書館(BnF)およびアルスナル図書館において,トルバドゥールの抒情詩の写本におけるヴァリアントの扱いと電子テクストの関連を調査した。 (3)来年度は研究課題最終年であり,フランス高等実習研究院(EPHE>教授であるファビオ・ジネリ先生を招聘する計画であるが,そのジネリ先生と研究の打ち合わせを行った。 (4)2月には,ジネリ先生のEPHEの講義・講演に参加し,電子テクストと写本について,ヴァリアントの電子化について知見を得ることができた。 (5)IRHT(テクストの研究と歴史の研究所:古文書資料館)で開催されたLes traductions latines d'oeuvres vernaculaires au moyen age et a la Renaissance (中世ルネサンスにおける俗語作品のラテン語訳について)と題されたコロック(研究集会:2012年2月9日)に参加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題の写本テクストと電子テクストの関連につき,研究サイドから見た場合のさまざまの知見が得られつつある。 また渡仏時にジネリ教授の講演・授業に参加することができて,バルセロナにあるカタロニア写本VeAgの重要性にも目をひらかされた。ジネリ教授の招聘はご多忙のため,2012年度3月(2013年ン3月)になりそうである。
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今後の研究の推進方策 |
ジネリ教援の授業と講演において,トルバドゥールのフォルケ・ド・マルセイユの新しい校訂版をもとに,とくにVeAgというカタロニア写本の重要性を知ることができた。マイナーな写本とされ,私もこれまでほとんと考慮にいれてこなかった写本であるが,今後私の研究においても,C写本だけでなくVeAg写本など独自の読みも考慮に入れる必要があることがわかった。
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