研究課題/領域番号 |
22520336
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
福田 育弘 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (70238476)
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研究分担者 |
神尾 達之 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (60152849)
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キーワード | 複合 / 文化 / 文化学 / 身体 / 飲食 / メディア / 味覚 / わたし |
研究概要 |
福田は、昨年度はパリ・ソルボンヌ大学大学院地理学科の修士論文『東京におけるプランス食』(日本に調査に来た著者本人もわたしが指導)の口頭審査に加わるとともに、パリ・ソルボンヌ大学地理学科の研究者たちとの研究上の交流を深めた。さらに、飲食と風景の問題について、フランスの文化地理学者、おもにオギュスタン・ベルクの一連の著作を批判的読解を通して、飲食の複合文化学的研究の基礎となる、飲食と風景のダイナミックな相互規定的問題について、フランスでの現地講査もふくめ検討し、その研究の一端を『学術研究』(早稲田大学教育学部)の論文「*****」として発表した。 神尾は本年度、「複合文化学」の方法論を教育の現場で応用する方策に取り組んだ。福田と神尾は本研究の成果を教育実践においても実りあるものにするために、数年前からそれぞれのゼミを合同で行っている。そのことによって、(1)学生の研究対象の幅を広げ、(2)同一の研究対象に対する複数のアブローチを学生が学ぶことができるようになってきた。本年度はその中間報告をかねて、「BBSを使った集合知への寄予と個人への還元システム」というタイトルの下に成果を発表した。 福田と共同研究者神尾は、昨年度のすでに基本的方向でテーマを中心に複数の視点から多角的文化現象を研究するという点で一致をみていたが、こうして研究成果において、さらに一歩、複合文化学の方法論の構築に近づいた。また、二人の研究成果は、教育面にも大きく影響している。早稲田大学教育総合・科学学術院、複合文化学科で福田と神尾が合同で運営する複合文化学演出(3・4年合同)では、学生の卒業論文とゼミ論において昨年以上に文化現象を複合的に考察する論文の質の向上がみられた。これらの論文はそれぞれ『複合文化学の冒険』(4年生の卒論)、『複合文化学への助走II」(3年生のゼミ論)としてまとめられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の福田、研究分担者の神尾とも、それぞれの分野で海外の研究者と連絡をとりつつ、関連論文を執筆し、それを学生の研究を指導する場で生かしているので。
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今後の研究の推進方策 |
今後、福田は飲食をめぐって、在フランスおよび在日本のフランス人研究者との連携を一段とつよめ、飲食行為の複合文化学の方法論を日本のフランス料理の受容の過程の分析と考察し適用することで、フランス料理が他の飲食行為との関連で日本的に変容しつつ定着し、日本人の飲食を変容させてきた過程を分析する。そして、具体的テーマへの適用によって、同時に複合文化学の方法論を明確なものとしたい。研究遂行者である二人が想定する複合文化学は、既存の多くの方法論を摂取した上で、しかしそれらを単に加算しただけの総花的なアプローチにならない新しい方法論を模索している。この新しい方法論を完成させるためには、ルーマンのシステム論がどの程度まで文化研究に応用可能かを検討しなければならない。
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