研究課題
ジョルダーノ・ブルーノは無限を2つに区別した。「縁も、果ても、表面もない、全体として無限(tutto infinito)」の宇宙、そして「全体として無限」でありかつ「全体として世界全体に存在し、その個々の部分にも無限にかつ全体にわたって存在する、全体にわたって無限(totalmente infinito)」の神であり、彼は前者を考察の対象とした。また、万物を無限に分割したときの不可分者としての原子をも想定した。それに対して、ガリレオは『新科学論議』の中で、数学的議論として不可分者と無限について論じているものの、リチェーティ宛書簡では、有限存在である人間の知性は無限を理解できないと慎重な姿勢を見せた。そのガリレオは『偽金鑑識官』の中で味覚や聴覚などの感覚作用を説明するにあたって原子論的立場をとっており、それが異端審問につながっていたのであった。彼の異端審問の後、イタリアは哲学領域で自由に発言する環境でなくなったが、ガリレオ派の「新科学」の流れは絶えず、物理学と数学の領域では弟子のカヴァリエーリとトッリチェッリが活躍した。生物学の領域ではレーディが『昆虫の発生をめぐる実験』で生物の自然発生説を実験によって否定する他、ボレッリ、ベッリーニ、マルピーギ等の研究者が大きな伝統を作った。また、ガリレオの実験主義の精神を継承して1657年創設されたチメント学会の存在も大きい。書記を務めたマガロッティは、リベルタン的テーマにも取り組み、迷信や奇跡に対して批判的な態度を示した。このような流れの中にあって、アレッサンドロ・マルケッティは、ルクレティウスの『物の本質について』をイタリア語訳したが、原子論を主張するこの翻訳は出版を許可されず、写本の形で広まった。トスカーナ大公コジモ3世が原子論を教えることを禁じたことからも、17世紀後半は自由に哲学的議論をする環境でなかったことは明らかである。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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