当初の予定どおり、詞華集『十の長詩』3552行を通読し、仮の邦訳に訳注を完成した。それに基づき、伝統的に「詩人・芸人のための案内記」と言われてきた作品が、実は一般人のための「旅行ガイドブック」であること、そして、そのような「案内記」を含む10の作品すべてが、古代の旅行記であることが新たに分かった。 また、30年来頭を悩ませてきた、タミル古代の「声の文化」にも新知見を得ることができた。したがって、誰がどこでどのように作詩し、どのような場でどのように作品を披露したかについても分かってきた。そして同時に、「声の文化」と対の関係にある、古代の「文字の文化」のようすもかなり分かってきた。
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